換気扇から流れ出る 玉ねぎを炒めているような 香ばしい香りにカレーライス 期待した学校の帰り道 ぺこぺこなお腹をなだめて そそくさと宿題済ませて 駆け降りたダイニングで知った 今日の夕飯はクリームシチュー 決して嫌いなわけではない (カレーを期待しすぎただけです) いや むしろ好きな方に近い (個人的な好みの問題です) でもご飯の上にはかけたくない (かけたい人はかけてもいいです) ご飯のおかずにはむいてない (パンに合うと 言いたかっただけです) 換気扇に流れてゆく 玉ねぎを炒める煙の 行方をぼんやりと見てたら うっかりと焦げ色がひとつ コトコトと煮込む鍋の音と 割り入れたルーの面影に あの頃の思い出を重ねて 忘れかけた記憶蘇る 決して大好物ではない (何も知らず食べてたあの頃を) いや実は好きなのかもしれない (煮込む湯気の向こうに見ながら) ミルクの香りに包まれる (台所に向かう今がある) やさしいクリーム色の時間 (家族と食べる幸せのスープ)