海風の角で 胸の奥が追いつく 潮騒まじりの笑い声 今年も同じ駅で 「久しぶり」までは言わず 視線だけ交わした サンダルの跡がまだ 砂に小さく残る 言いそびれた言葉だけ ポケットの底で鳴る 歩幅合わせるたびに 季節が少し進む 名前を呼ばないまま 今日がほどけていく 海風の角で すれ違うだけでも 目と目の合図で 充分だと思えた 約束じゃなくていい 明日に委ねても きみが笑ってくれたら それでいい バス停 揺れる髪に 夕焼けが混ざって 「あの頃」より軽く ため息が空へ消える 寄り道の角には 新しい灯りがともる 知らないきみの時間が すこし羨ましい 踏切のベルに乗り 言えない言葉流す 手を振る仕草だけで 答えは伝わるよ 海風の角で さよならの手前で 同じ速さで 交差する影のまま 未来を決めなくても ここまで来られたね きみが笑ってくれたら それでいい 追いかけない優しさが 今日の強さになる 「いつか」の先はまだ 急がなくていい 海風の角で すれ違うだけでも 目と目の合図で 充分だと思えた 約束じゃなくていい 明日に委ねても きみが笑ってくれたら それでいい 風が止んだら 手を離す それまで
