惚れてフラれた女性(ひと)の名を 酔ったフリして呼んでみた あの日から大人になれなくて 独り身じゃ眠れない 夏の終わりと知りながら 逢えば浮世の恋塒(こいねぐら) 情けない男と言われても 振り返る渚橋 悲しくて酔えないこともある 涙を浮かべた水割りのせいだよ 今宵こそ濡れたい雨の中 口づけを交わした傘は無く ひとり泣いた 嗚呼 夜です "愛"という字は真心で "恋"という字にゃ下心 江ノ島に明かりが灯る頃 艶(いろ)づくは片瀬川 やるせない今宵の南風 あの日と同じ波音のせいだよ 夏の夜の花火と消えたのは 黄昏という名の月明かり 君を抱いた 嗚呼 夜です 悲しくて酔えないこともある 涙を浮かべた水割りのせいだよ 今宵こそ濡れたい雨の中 口づけを交わした傘は無く ひとり泣いた 嗚呼 夜です 君がいない 嗚呼 海です