今年もまたこの季節がわたしたちを 染めてゆくよ ぶつかった手と手 こんなに近いのにどうして 風を切ってはしる自転車 きみの声は景色を置き去りにして あおいあおい空に飛んでいって 雲になった 踏切を待つ間きみは ポツリ、なにかいったけれど 電車が過ぎ去る音にかき 消されてきこえないよ 「今年もまた夏休みにあの浜辺で 花火をしよう!」 汗がふれるほど 近すぎる距離感……神様、 勇気を…… 少しづつ暗くなる 海の遠くに浮かんでる入道雲に 音もなく光る稲妻を眺めてた 止めることのできない時間 “いま”はぜったい戻らないの 今日こそは、ぜったいに この気持つたえなくちゃ 瞬く星に背中おされ 隣に座るきみの手を握った 心臓が破裂しそうになった…… 風を切ってはしる自転車 きみの声は景色を置き去りにして 濃紺の空に飛んでいって夢になった 踏切を待つ間きみは ふいに、わたしをだきしめた 重なる二人の影 最終列車はゆく。