眠りの茨 閉じられた瞼の裏に 赤く色づく花弁 染められた鮮血 一度踏み入れたら 二度と戻れないから 昏き深淵へ 誘う魔性の円舞曲(Walzer) その手を取って 此方へといらして? それは夢の案内人(Führung) 扉をあけて 出会いましょう? 何も知らなかった 無垢な存在へと 回帰する魂の檻から今、目覚めて 白と黒の対 罪の薔薇が花開く蜜月 闇に溶けた月 甘やかな毒(ギフト)をあげるから 君と嘘の針 それは百年続く祝福(おまじない) 少女の儘で 散らぬように咲き続ける物語 ひとり重ねた 指先を刺すような棘 贖うのは過去 硝子細工に浮かぶ欲 鍵を開けたらもう 二度と帰れないから 熟れた夢の底 微睡む夢想の輪舞曲 ステップ踏んで 共に踊りましょう? ここは茨の塔 螺旋を廻り 底へ落ちる 全てを知りてなお 無垢な聖乙女は 永遠に穢れを知らぬ 透明な目で、見つめて 白と黒の対 君の犯した代償の罰が 夢に融けた愛 とびきりの 毒(ギフト)をあげるから 君と口づけを それが目覚めるための契約 (おやくそく) 幼い儘で いられないと気付いたなら 手折りましょう 約束は忘却の果て 鍵をかけてしまおう 茨に鎖され眠りにつき 侭、待ち至る 夜に染まっていく 過ち怖れて 別たれた想いなど 此処にはもう、ないのに 嗚呼 白と黒の対 まるで心を奪い取る病 朝が来ないように 痛いほど毒(ギフト)をあげるから 真の愛で視る それは百年続く呪詛(おまじない) 穢れぬ儘で 王子様をずっと待ち続ける物語