岬をめぐる船が 汽笛一つ鳴らした 眩しそうに遠くを見る 横顔が好きだった この町を出ると決めた 君の笑顔の向こうで 蒼空に紫色の 花が咲き乱れてた ジャカランダの 花の咲く頃に 君は故郷を出ていった 夢に縁取られた明日を 小さなカバンに詰めて ゆりかもめが小さな 円を描いて 飛んだ 君はこの海の向こうで 一人暮らしはじめた 市場へ出る毎日 僕は何も変わらず 僕の花が君の町へ 出てゆくのを見ている ジャカランダの 花の咲く頃に 君は帰ると約束した 「忙しい」という 言葉を初めて 君の手紙で識った ジャカランダの 花の咲く頃に 君の長い手紙が届いた 「もう 帰らない どうかしあわせに 暮らして下さい」と ジャカランダの 花の咲く頃に この町は何ひとつ 変わらない 僕も何ひとつ 変わらない 遠くで汽笛が鳴った