残照の光の海を 二人行く ふたりゆく 花のごとかる罪を抱きて ただ一本 買いしコスモス 冷たくて 素直なるかな 花の透明 昼深く 夢に見ている しろじろと 煙(けむ)れるまでに 熱持つ乳房 物語をつくるのはわたし 世界を生むのはわたし あゝあなたを あなたを愛して あかねさすわたし 愛しては ひとを追いつめ たりしこと 野火のごとしも 夏の終わりの 洗い髪 濡れて光れる そのままを あなたに倒れて ゆくまでの愛 扉を開くのはわたし 季節を生むのはわたし あゝあなたを あなたを愛して あかねさすわたし 漲(みなぎ)れる 男の体 寒の夜を 抱(いだ)きしめれば 樹液の匂い もろともに 藍ひといろの 湖(うみ)となり 森となりゆく 透きてゆくまで 天空を翔けるのはわたし 虹を生むのはわたし あゝあなたを あなたを愛して あかねさすわたし 残照の光の海を 二人行く ふたりゆく 花のごとかる罪を抱きて 花のごとかる罪を抱きて