世界中の青を集めて 重ねたみたいな宵の空 溶け出した夜の匂いに 思わず僕はくしゃみをした 270円の煙が苦味ばしって 舌の奥のほうで痺れている 鉄塔の電線が切りとった空の東側 泳ぐように飛ぶ烏の影 あんな風に空を飛びたいなあ 人が羨むような生活がしたい 途切れたいつかの夢や あきらめ続けた色々や それを繕う言い訳を 重ねたみたいな夜の闇 汚れのない心を 汚れのない体を いつのまに僕はこんなになった どんな傷も明日 消えていたらいいなあ 世界中の青を集めて 重ねたみたいな明けの空 名残惜しそうに漂う 幻みたいな白い月 お伽の国のような街 夢から覚めるにはまだ早い 溶け残る夜の匂いに 思わず僕はくしゃみをした