背中をそっと撫でる春風に似た まだ温いシーツを冷える肩に着た 街の色は薄く暗いシアン 両手の珈琲越しに欠伸をしていた 横顔が微睡でぼやける部屋には 今日と明日が混ざりあった時間 昼下がりの静けさに一人になり ただ季節の終わりのような 孤独が立ち込めた矢先 溜息の前に鼻先を掠めた 面影に少し笑みを零しては 次はどんなくだらない 話をしようとか 誤魔化すように咳き込んでさ 首筋を通り抜ける木枯らしが痛い 窓越しの景色を薄い頬に浴びた 顰め面に遠鳴きのカナリア 下ろしたてのコートに袖を通した 足早にすれ違う人を見て気付いた まだ先には続きがあるみたい 忘れたい 馬鹿みたい ほろ苦い ただ居ないとつまらない 誰かの手掛かりを辿るようにまた 息を吸い込んで朧げに捉えた 優しい記憶は消えてしまうから さよならくらいは 言ったことにしよう 繕うのはやっぱり下手だけど 溜息の前に鼻先を掠めた 面影に少し笑みを零しては 次はどんなくだらない 話をしようとか 誤魔化すように咳き込んでさ