それなりの時間を、関係を、 終わらせることはそれほどに 辛くない。 後悔や、自責の念などは、 無いわけじゃなかった。 延命も虚しく、息絶えた。 凪ぐ風が嫌に冷たいと感じた。 全て忘れたいはずなのにさ、 脳裏に焼き付くの。 まるで、世界に独りぼっち。 静けさに沈むだけ。 気持ちなんて曖昧なもの、 信じないで。 言葉には依らない感情が、 あなたによく似てる幻想が、 嫌に優しく抱きしめるので、 虚像だと知ってしまった。 二度とは戻れない関係に、 気付くのが遅すぎたよ。 そんなこと今更もう、 分かっているのに。 錯覚をしていた、大概だ。 躓いていたのは随分と前から。 透明でいられたのならば、 どれだけ幸せなことだろうか。 偽善を、肯定を、 咀嚼するのは、些か駄目みたいだ。 取りこぼしの無いように、 愛するのは無理があった。 それは、慈しみと見紛った 不埒な期待感か? はたまた、望みを隔てた故、 涙が零れた? 例えば、どこまでも行ったって、 何もかもを消そうとしたって、 ふとした時に思い出すのは、 造花のような、あの情景。 一時の感情に頼って、 突き放してしまったのさ。 そんなこと今更もう、 分かっている。 けれど、許せないのは、 言い訳を探してる自分自身だけで、 どう繕おうが、救えない。 「思い出」と呼ばないで。 それだけで、痛いから。 有り触れた別れと、 無意味な追憶だけ。 言葉には依らない感情が、 あなたによく似てる幻想が、 嫌に優しく抱きしめるので、 虚像だと知ってしまった。 二度とは戻れない関係に、 気付くのが遅すぎたよ。 そんなこと今更もう、やめてよ。 日常に残る残像や、 ふと、反芻される幸福が、 今になって後ろめたくなり、 酷く、私を詰った。 思考を巡らせるより前に、 既に手が動いていた。 「私達、もう一度────」