かさついた降り月の夜 朽葉色の流れる街 狭い歩幅に視線を落としては 吐きかけたため息ぐっと呑み込んだ 出会いはそう繰り返す程に どんなだっけ 曖昧になっていくのにどうして さよならは鮮明に思い出せちゃうわ いついつ誰とどこで どんな風だったか 映して 月の隣に君の顔 霞まないように 堪えた涙が体を蝕むけど この痛み忘れずにいたい 許して ほんのちょっとだけ ここに紛れていたいだけ 茜色に今日が覆われて溶けるまで 色なき風吹けば目に浮かぶ 君と歩いていた道は九十九折 「それが楽しいんだ」と 真っ直ぐな横顔じっと見上げていた 時間はそう残酷な程に絶え間なく 足早に過ぎていくのにどうして 心だけいまだに置いてけぼりだわ 喜び悲しみ幸せ全部あの日のまま 南の空には輝く四辺形 静かな夜を彩って 変われない私をそっと 明日へ導いている 急かさないで 分かっている 映して月の隣に君の顔 霞まないように 堪えた涙と痛みだけ抱きしめて 明日を生きてみたい でも 許して ほんのちょっとだけ ここに紛れていたいだけ 茜色に今日が覆われて溶けるまで