♪♪♪ 一人心に別れを秘め 何も知らずに眠る貴方の 部屋の灯りに眼をやれば 憧憬(あこがれ)に旅立つ足がすくむ ♪ 私の二十歳(はたち)の祝いにと 貴方が庭に立たずみ静かに やせたその腕で土をかけた 青年の樹よ ♪ 今をのがせば夢などに 若さをかける時は二度とない ♪ 桜ひとひら雨に散る 冬まだ明けぬ春に散る 落ちたひとひら風に舞い 何処の土に埋もれ終るやら ♪ 私の二十歳(はたち)の祝いにと 貴方が庭に立たずみ静かに やせたその腕で土をかけた 青年の樹よ ♪ 老いた二人の行く先を 緑をやさしく包んでおくれ ♪ 私の二十歳(はたち)の祝いにと 貴方が庭に立たずみ静かに やせたその腕で土をかけた 青年の樹は 青葉繁りてなお悲し わびることさえなくなお悲し ♪♪♪
