"拝啓、あなたへ お元気でしょうか?" 進まない手紙と、進めない私です あれから一年 消えないままで 春さえ詠めずに 夏から枯れてく それでも淡々単純に できれば短文明快に って痛まない栞 物語る それでも散々、残酷に ピアノは明々明確に あぁ変わらず今日も美しい 散らばる 音の葉 掬った 残り香 ねぇ、後書きなんか 恋しくない 折れた筆先 哀しくない 霞む仮名は 等しく愛? あぁ、ぼくらしくない あぁ、美しくない "再啓、重ねてお便り上げます" 宛のない手紙と、帰らない2人へ ずれてく ハの音 筋書きなんて 欲しくない 染みた余白も 虚しくない そんなぼくは 他愛もない あぁ、捨てきれなくて 早春に恋をした 晩春の紫陽花は ねぇ、何で 雨も待たずに 落とす藍は 愛しくない ねぇ、後書きなんか 恋しくない 折れた筆先 哀しくない 霞む仮名は 等しく愛? あぁ、美しくない 筋書きなんて 欲しくない 染みた余白も 虚しくない そんなぼくは 他愛もない あぁ、捨てきれなくて あぁ、ぼくらしくない 堪えず、しくしく泣いた