少し息苦しいような生温い風が 君の前髪とTシャツの裾を揺らして た 優しい香りが切なすぎて あと一歩近づけなかったあの日のこ と 君は僕の知らない音楽を聴くから 口ずさむ曲もわからないけど それでもよかった なんかそれがよかった この目に映るもの全部覚えておけた らいいのに どうして離れて行くものほどたまら なく愛しい この手で触れるもの全部抱きしめら れたらいいのに 夏の夕暮れが照らす横顔がどうしよ うもなく遠い 僕ら子どものままではいられなかっ たみたいだ 大切なものはひとつだけ、 なんて言えたならどれほど 僕らは時を止めることはできない せめて君のその悪いくせも知られた くないことも 全部気づかないふりをするから この目に映るもの全部覚えておけな いから あの歌を聴くたびに君のこと想うだ ろう この手で触れるもの全部抱きしめら れないから オレンジの光の中でなにも言えなく なる この目に映るもの全部覚えておけた のなら この手で触れるもの全部抱きしめら れたのなら なにか変わっていただろうか