「あなたの首を 抱いたまま 血涙(けつるい)絞りて 鳴いたとて あなたを偲ぶ 朝が来る そこにまろび 出(い)でたのは──」 「──あなたに宛てし 届かぬ文(ふみ) 始末に負えぬ 呪い言(のろいごと)」 「隠れた恋慕(れんぼ)の果ての果て 虚ろに問うは もういいかい──?」 ──義(よし)も誉(ほま)れも 露と消ゆ 華やぎし日々 夢となり 朧の闇にたゆたひて 虚ろに問ふや「もういいかい」── ──花と呼ばれ、咲けと迫られ 願わぬ実を孕み 腐ってゆく 遠ざかる視界の中 はらり音もなく落ちてゆく── 花束は 儚き日々を呪う証 風に揺るる か細き声を 胸に秘め 明かされぬ想いよ 永遠になれ ひと雫の祈り 咲かせよう 深い闇へ憧れ 堕ちる かくれんぼするもの ここに留まれ 祈火 明く空に 名もなき 慟哭舞う 散華(さんげ)の 魂(たま)願う 祈りは、花と散る 「望まぬ婚姻 友の祝福 傷を負った足ではどこもいけず 里の蔵にて 沈鬱(ちんうつ)となり」 「ある日見つけた 秘蔵(ひぞう)の書物 そこに記されし無慈悲な真実」 「『鬼を人に戻すすべ それは”乙女の口づけ”である しかし 明かしてはならぬ 鬼増え 忍が死ねば死ぬほど 我らは任務と 富を得る』──と 闇より深く 影を落とし 輪郭は曖昧になってゆく 歩む足取りは 重く鈍く 視界は揺れ 滲んで消える あなた呼ぶ 声かすれ永遠(とわ)に届かない 誘われるまま 深い闇へ堕ちてゆく 明かされぬ想いよ 永遠になれ ひと雫の祈り 咲かせよう 深い闇へ憧れ 堕ちる かくれんぼするもの ここに留まれ つま弾く琴線は 堕落(だらく)の調べ 鳴らす 緋と白妙(ひとしろたえ)の華 戯れる夢うつつ 「まあだだよ」 「隠れた恋慕の果ての果て もはや届かぬ 伸ばした手 さらば 私はひとりきり この世に隠れし鬼を追い 見つかることなき あなたと遊ぶ 触れることなど出来ずとも 偲ぶこの声 届くなら ──もう、いいかい」
