Track by塚越智朗
鳴き声を耳にした文月の朝 一羽のはずの鳥の巣の方から 確かに幼い声がした 崇高な生命(いのち)の響き 疲れた羽も休めないまま 毎日 母鳥は巣を行き来した 僕は馬上からそれを見ていた 広大な平野で一人・・・ いつも思いながら 天空(そら)を翔けたのだろう “我が 子のためにできないことはない”と 深い慈愛(あい)に包まれ 幼き鷲の子は 日が経つにつれて逞しく 育って行った 父の顔も知らないまま この鳥は 母の亡骸を胸に・・・