首切り穴の 闇を覗けば 刃が走り 視界が回る ひきつる胴が 血の雨降らし 無念の青に 恨みの赤が 睨んだ睨んだ 歪んだ顔が 並んだ並んだ 晒し首並んだ すすき野原の 壊れた台で 睨んでみても もずが鳴くだけ 首から下は どこ行ったのか カラスに聞けど 答えちゃくれぬ 溶けた溶けた 鼻が溶けた 落ちた落ちた 目玉が落ちた 蓑虫が 俺の鼻穴で 夜風に揺れている カマキリが 俺のあたまから 月に拝んでいる 土蜘蛛が 俺の喉元で 何かを待っている コオロギが 俺の目の中で あはれと鳴いている 人に晒され 目に晒されて 雨に打たれて キノコが生えて 苔むす頃に 土へと還る 崩れた崩れた しゃれこうべ崩れた 無くなった無くなった 俺が無くなった 咲いた咲いた 彼岸花咲いた 忘れられた 俺の墓標