霞の中 時計の音が聞こえたなら それはきっと オルロージュの白い工房でしょう その店は悩める者の前に突然現れ やがて幻のように 何処かへ消えていく ショーウィンドウにあるのは 主人お手製の商品 色のくすんだ手鏡に いびつなフルート それらの中から一つを あなたに差し上げましょう 選択は慎重に お代は不要です 喪服の妻の横で 白衣の主人が穏やかな笑顔を見せる その品はきっと あなたの事を救ってくれるでしょう ようこそアトリエ オルロージュへ 時計仕掛けの 不思議な店 異世界仕込みの錬金術 心の空虚を埋める品々 されどあなたには注意する事がある 商品の横に添えられた羊皮紙 書かれた説明をちゃんと最後まで 読みなさい それは時計仕掛けの神が定めた ルールなのだから もしもあなたが その決まりを守る事が 出来なかったら とても大きな 代償を支払う事になる ようこそアトリエ オルロージュへ 時計仕掛けの 不思議な店 主人が最も得意なのは 奇麗な音のオルゴール作り 後悔しても 時すでに遅し あなたが再び工房を探しても 永遠に見つからない 手がかりさえ残らない 工房は同じ場所にとどまる事はない 旅をするのだ 邪悪なレストランと同じように時を 超え 親なき子らよ さて君らはどんな品物が 欲しいのかな? ようこそアトリエ オルロージュへ 甘い話には裏がある そんな事も知らないなんて 君は実に愚かだな ようこそアトリエ オルロージュへ 時計仕掛けの 不思議な店 奥の棚にあるオルゴールは まだ新たな子守唄を奏でない