「もっと早く帰ってきて」 その一言が言えないのは 君のお荷物になりたくないから 「もっと早く帰ってきて」 その一言が言えないから 今晩のシチューに溶かしておくね 少し多めにきのこを入れた 方のお皿は君のもの 少し具が少なめになった 皿は私のもの 一口食べては「おいしいね」って 感動している君が可愛いから いつも作りすぎちゃうのよ ごめんね ごめんね 律儀に両手を合わせて君が 「ごちそうさま」って言うの ちゃんと嬉しく思ってるよ 明日の夜は何が食べたい? 「今日も少し遅くなる」 申し訳なさそうに話す君に 笑顔で伝える「頑張ってね」 その言葉の奥に隠した 私の本当の気持ち 寂しさに 気付かれないように もっと私を見てよ なんて言ったらさ 呆れられちゃうかな 隠し味に気付いて 君が足りないよって 二人の時間を君も大事にしてよ 一口食べては「おいしいね」って 感動している君が可愛いから いつも作りすぎちゃうのよ ごめんね ごめんね 不安も寂しさもやっぱり消えないよ 一緒に煮込んで 食べちゃうしかないね 私は明日も君を待つよ 君のためにキッチンへ向かう 明日の夜は何が食べたい?