純粋でいられた頃は 煌いて見えたすべてが 今では遠く色褪せ くすんで映る 思い出は痛みとともに 上書きされてしまって 焦点の合わない瞳に 光が滲む どうして楽しい記憶は すぐに消えてしまうのに 悲しみは刻み込まれて ずっと消えないのだろう 見えるものが陽炎なら 目を閉ざしてしまえばいい 幻しか映らないなら もう何も見たくはない こだまする街のざわめき 遠くから聞こえる歌も ガラスを引っ掻いたような ノイズに変わる 無邪気に音符を並べて 歌っていたはずなのに いつから声を上げるのが 苦しくなったのだろう 聞こえるものが空耳なら 耳を塞いでしまえばいい かすれた声 ひずんだ音が 胸を満たしてしまう前に 誰もが心の痛みは 時が癒すと言うのに どうして時間が経つほど 傷が広がるのだろう 不安に怯え叫びそうでも 唇噛んで声を殺そう 天を仰ぎ 震える手で 揺れるロープをぎゅっと掴んだ 目を閉じても 耳を塞いでも 消えない痛み 押し寄せるなら もう何にも感じないように 心を閉じて終わらせればいい