街は赤と緑に染まって 笑顔が値札みたいに並ぶ カレンダーだけが浮かれてて 俺の予定は通常運転 ケーキの話は休憩室まで そこから先は業務外 イルミネーションの点灯より 先に光るのは未読の通知 「年末は忙しいから」 魔法みたいなその一言 祝日も感情も まとめて消していく クリスマスなんて関係ない シフト表には雪も降らない 鈴の音よりキーボード 祈る先はサーバーの安定 誰かの幸せを横目に 残業理由を更新する 祝われる側じゃなくて 回す側のクリスマス チキンの代わりにカップ麺 赤いのは目の充血 恋人たちの写真越し 俺はまだオフィスにいる 「今日は早く帰っていいよ」 過去形で聞いた気がする 気づけば日付を跨いで ツリーより高いタスク イベントは私用です 暗黙の了解事項 夢を見る時間も業務時間外 クリスマスでも通常業務 希望は年内に未定のまま 乾杯の代わりにコーヒーで夜を延長 誰のための頑張りか考える暇もなく 赤い服のサンタより 青い顔の同僚 せめて一日くらい理由なく 笑いたかった 予定がないんじゃない 奪われただけ クリスマスなんて関係ない そう言い聞かせるのが仕事 楽しめないんじゃなくて 許可が下りてないだけ 街が眠ってもオフィスは起きたまま メリーでもハッピーでもない これがブラックのクリスマス
