嵐に飲まれた次の朝 全部を失くして棒立ちだ 生まれたばっかの赤ん坊は きっとこんな気分だから泣くんだ 蛇口をひねって水を飲む 死にたいときでも喉は乾く 身体は足りないものを欲する 頭はいっぱいだと減らしたがる できればシンプルに生きたいな 大事なものは一個でいい そう思っても増えてゆく 大事なものに苦笑い 守りたいゆえに投げやりな 無鉄砲も憚られるもんで それを臆病と言われんなら そう墓石に刻んで構わない 落ち葉を鳴らし歩く くたびれた町を撫でる 木枯らしが慰める きっと明日は雪だよ 君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 期待なんかしないと言ってたくせに 悲しくなってる馬鹿野郎 涙と後悔の落書きみたい 白紙に戻れない僕らだから これまで傷つきすぎたから 多くは望まないってのは分かる だけどときたま訪れる 喜びにも眉をひそめて くさして、貶して、唾吐いて 捻じれた心に見失う 本当の自分なんてもんはいつも ゆがみの根元に雲隠れ 見上げた飛行機雲の 出所が見つからない だけど存在したのは 確かだ 確かだ 君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 これからの事は分からない 分からない事には怯えない 明日なんかに汚されはしない 白紙に戻れない僕らだから 嵐の晩に僕は願う 全部消えろとそっと願う 消えたら消えたできっと泣く 最悪な僕を押し込める 明日はいいことがあるって 根拠がないと不安になる だから根拠を探している 見つからないから泣けてくる 君の目は真っ赤だ 何があった涙 泣きじゃくってまっさら 生まれ変わる明日 描きなおせない絵画か 消しゴムのない長編小説 今日までに今日からを上書き 白紙に戻れない僕らだから