「…私は、戦があまり好きではなく てね。」 「? うん。」 己が武器である事 忘れた事はない この身に刻まれた宿命 忘れるはずがない 命奪い合う『物』として 我らは生まれた 「うん。」 皆それぞれ 命のやり取りを経て、ここにいる 「加州清光、君にも身に覚えがある のでは?」 「…。」 「…その中でも…今剣さんは大きな 矛盾を抱えている…。」 「矛盾…。」 肉体を得ることによって生まれた矛 盾という蕾 感情という花を咲かせる あの小さな身体に宿った蕾は 今まさに花開こうとしている 悲しみという花 「…悲しみ、か。」 「…今剣さんは…かつての主である 源義経を…。」 「…ああ、そうだったね。」 「…。」 「…アンタがなんで戦が嫌いなのか …わかった気がする。」 「…え?」 「…ずっと、人間のそばでさ、病気 や怪我を治したいっていう思いとか 願いとか、 受け止めてきたんでしょ?」 「…ああ。」 「…でも…でも…。」 自分が武器だって事 忘れるなんて出来なくて この身に刻まれた宿命 受け入れるしかなくて 命奪い合う『物』として生きるしか なくて そして…俺も 私も 命のやり取りを経て ここにいる 「そりゃあ戦嫌いにもなるよな…。 戦ほど悲しみを生むものはないんだ から。」 「…。」 「…アンタも、大きな矛盾を抱えて いたんだね。」