淡い朱華の想い 手のひら、一片握りしめる頃 陽炎にあなたの姿ゆらりと揺れる 月虹が照らす夢見草 退紅は、ぼんやり霞む 仮初めに咲く雨情枝垂 儚く散る冷たい春時雨 桜が空を染める並木道 撫でる南風 纏い舞い落ちる花びらの雨が あなた包む 玉梓を運ぶ渡し舟は 小春凪の水面まだ彷徨う 石楠花触れられず 祈り泣く懸想人 黄昏の玉蜻 咲く刹那 短し季節 翠色に聴の蕾 揺蕩う蛍火 向かう終焉 宵の泡沫煙る朧月 東雲に目を細め望んだ出づる明日を 眺め生きる 玉梓を運ぶ渡し舟は 小春凪の水面まだ彷徨う 沈丁花踊る艶姿 鵼つぐみ 玉梓を運ぶ渡し舟は 小春凪の水面まだ彷徨う 石楠花触れられず祈り泣く 懸想人 淡い朱華の想い 手のひら、一片握りしめる頃 陽炎にあなたの姿ゆらりと揺れる