この町に 来たことがある 小さくぼくは 呟いてみる 幼さの 淡い記憶を 少しずつ 手繰り寄せてみる 辱めを受けた 人気のない空地 砂埃たちこめる 夏の草叢に蹲る ライナスの毛布を あなたから 奪い去ること それが私にできる たった一つの ことだから 年上の 女のひとが くちびるの 傷口に触れる 動かずに そのままでいて 男の子だったら 泣かないで ぼくはぼくの心 覗くのが怖くて 隠していた 隠れていた ばれないように 怯えていた ライナスの毛布を あなたから 奪い去ること それが私にできる たった一つの ことだから なにも変わらないよ この町も ぼくもだ だから せめて 泣きじゃくるくらい 許してくれても いいだろう? ライナスの毛布を あなたから 奪い去ること それが私にできる たった一つの ことだから ライナスの毛布を あなたから 奪い去ること それはぼくが いつか 手離して しまうもの