多しの心を取り直さねば病は立ち返 る 即ち人も滅びなむ 打ち更く か黒し海は閑かなる夢 耀ふ月影 水の面に及びて 更に未だ見ぬ鱗を纏ふ女 現前たり 我が名はアマビヱなり 兼言を告ぎし者 疫癘流行りたるけるに 我の似せ絵書くべし 濡れたる御髪と魚のやうな鰭持たり 眼は奇しく嘴は大鷹の如し 三つに分かるる下つ方は跳ぬ 天を仰ぎて放つ 並びなき声を上ぐ 唄は波を逆巻く 有りとし有る疫を封じ 安堵与えたり 我が名はアマビヱなり 兼言を告ぎし者 疫癘流行りたるけるに 汝よ 筆を振るひ 我の似せ絵書くべし 天地 海山 一方一方 棲む処在り 皆人 然りとては付き付きしき世と成すべ し