身体中に絡みつく 月明かりを背にして出来た暗闇に 積み上げた我楽多は まるで違った表情を覗かせ始める 誰かにとっては未来(ゆめ) 誰かにとっては過去 遍く時間を越え彼女は笑う 月の光が今宵も麗しいから この身体を闇に浸し続けていた 傷ついた心に気付かぬ振りをして 愛と憎しみは裏表などではなく 闇夜に浮かぶ月を描いた画のように この夜だけは終わることもない 魅せる様に我楽多が ひとつひとつ姿を変えながら踊る どれくらい観ていても どれほど増えても心は埋め尽くせない 孤独の果てには何が見えるのか 欲望の果てには何が見えるのか 誰の声も聞こえはしない 彼女の息づかいすらもう 二度とは 月の輝きが今宵も眩しすぎて ここに在るのは彼女と私の影 差し込んだ光に照らされたその瞬間に 頬を伝って流れ落ちる一滴 過ぎし日の想い出を洗い流して この夜が今終わりの刻を告げ