春来れば 藤花盛る逢坂で あなたとわたし この世では ふたたびとない運命を 感じ取った 夕暮れが瞬間をさらえど 今も未だ感じている あなたとは 結ばれるため生まれたと 信じていた ゆるされない ゆるされない これが世に知らるるは 命の終わり ゆるされない ゆるされない あの花の下忍びに あなたと会う 月明かり 闇夜の中のふたりみを 照らさぬよう 藤の花 与うるものは 口づけの味 ゆるされない ゆるされない この恋を暴かんと 星たちが追う ゆるされたい ゆるされたい 引き裂かれし二人の果ては 悲しきか あの日の風 あの日の匂い 紫立つ景色の中に わたしは見つけた 「明くる年も 共に見よう」と 花はもう身を尽くす 囚われた あなたのその白き肌が 赤く染まる 貫くは 二人には重すぎた うつつのゆめ 倒れゆく その体に寄り添うのは わたしの声 藤の花 奪いしものは ふたりのいのち