小田急線にて人身事故のため 運転見合わせております。 満員電車がざわつく9月の朝 「最悪、遅刻じゃん」 「死ぬなら一人で死ねよ」 「くそ迷惑」 あの中に一体彼女の死を想った 人がどれくらい居ただろうか なんの迷いもなく線路に飛び込んだ 少女を目の前にした 少年は腰抜かしホームに座り込んで 泣いた 震えた字で書かれた遺書が あの世行きの切符になったんだ 何千回も心で叫んだ 「誰か助けてください」 言えない言葉が 喉を焼く 机上に置かれた花瓶と花 後ろでクスクスと笑う声 何かが音を立てて 崩れていく 大人が言う「世界は広いから」その 「世界」を知らない私は 「教室」こそが世界の全てだった 暗い部屋 冷めた夕食 目に入るもの一つ一つ全てに 生きてることを 責め立てられてる気がした 漠然とし過ぎた将来に 希望なんて持てないよ 鉛筆を置いてつぶやいた 「お母さんごめんなさい」 放った言葉で 喉を焼く 彼女は 今どこで 何を思っているだろうか 窓越しから馬鹿みたいに晴れた空を 見ていたんだ 生きている 生きている 私はここで息をしている 生きてく 生きてく それでも私は生きてゆく 届かぬ想いが 喉を焼く