ぶら下がった 凧の残骸が 冬になって侘しく揺れている ポケットから俺は 手を出せないでいる 突っ立っている魂 雲が美しい 息が白めば 落陽が突き刺さる 息が白めば 色彩が突き刺さる この世は 諸行無常か 永遠の変わらない誓か ポケットから俺は 手を出せないでいる 押し黙る魂 雪を待っている 薄紫の 感傷が降り積もる 薄紫の 現実が降り積もる 留まらぬ その光と闇は 揶揄うように 現れて嘘のように 消えてゆく 薄紫の 感傷が降り積もる 薄紫の 現実が降り積もる ポケットから俺は 手を出せないでいる 硝子窓に 影が映る ポケットから俺は 手を出せないでいる 歩みは 止めない