Track bycero
千のか細い雨の棘が 頬に刺さってやがて溶ける 気象図のような暗い泡が 排水溝で渦を描いた 忘れたり 崇めたり 蔑んだり 思い出したり まつろわぬ アノマロカリス こうしていたいだけなのに ほら 宇宙開闢の音色が マンホールの中をうねる 騙されない者は彷徨う しるしと共に ほら 闇に巻かれた虚ろ舟が 漂い着く 海星(ひとで)の海 千のか細い流れ星が 音をたてず唄い踊った