ある晴れた朝の事、 大きなゴミ袋片手に とっても歪な臭い何かを詰め込んで 言いました。 「パパはね、 暫くの間お家に帰って来れないの」 散らかった狭い部屋に置き 去りの思い出が枯れてく。 締め切った扉軋む音 膝を抱え待ちましょう 「いい子にしない 子にはお仕置きを」 いい子にするから打たないで 「いい子にしない 子にはお仕置きを」 打たれて泣いたらまた叱られる 「いい子にしない 子にはお仕置きを」 テーブルの下の黴びたご飯 「どうして生まれたの?」 五月晴れ、躑躅色。 木漏れ日の香り、日向の影、 五月雨待ち侘びて。 抱き締めて欲しいと願う日はいつも 夢の中で笑うパパの前でだけ泣いた 眠るの、今も眠るパパを背にして。 ある晴れた朝の事、 私も少しは大人びて 淡く拙い 恋心抱くようになりました。 けれどママがね、 知らない男と私を 犯そうとしました。 散らかった 狭い部屋に 忘れもしないあの日の臭いがした。 もがいた内臓がチミチミと飛び 出して 天井を眺めたママがピクピクピク 朝日射す汚れた部屋で床下 パパの頬撫でて泣いた 五月晴れ、躑躅色。 木漏れ日の香り、日向の影、 五月雨待ち侘びて。 白くなったパパ 壊れないように抱いた 「パパ、私ね? ずっと泣かなかったよ」 もう熱を持たない大好きなパパは 私の腕の隙間から零れ落ちた 眠るの、パパの隣で。