隔離されたこの部屋に 充満した黒い煙は 既に心地良くて目に浮かぶ 涙に気づく訳もなくて 追うものも 追われるものもどこかに消えて 無くなっていって ぽっかり空いた 穴にぴったりはまるのももう 疲れたよ 黒い空 明るいテレビ 切れかけの電球 そこらへんにありふれる ものが寂しそうに見えた 消えてゆく記憶の中で どうでもいいことばかりが 私の‘何か’になって零れ落ちた 紺の絵の具を塗りたくったような 暗い海を一人で泳いだ 寂しいも悲しいもわからないような 私に この世界はもったいないだろう 鮮やかな心で掬い取ってよ そう思ったころには呼吸の仕方を 忘れた 消えてゆく記憶の中で どうでもいいことばかりが 私の‘何か’になって零れ落ちた 止まらない‘何か’は私を そっと包み込んで 私は少しづつゆっくりと さなぎになった 外を見たいと思ったわけじゃない 空を見たいと思ったわけじゃない 外を見たいと思ったわけじゃない 空を見たいと思ったわけじゃない