雨は嫌いだった 濡れた靴と湿った空気 傘を持つことさえ でも君が笑う日は 決まって空が泣いていた それだけは確かで 水たまり越しに揺れる 君の輪郭が 少しずつ薄れていくのが わかってしまう 晴れないで もう少しだけここにいて 雲の向こうに光なんて いらないから 雨が止めば 君はどこかへ行くんだろう 嫌いだったはずの雨を いまは待っている 晴れた午後のバス停 座る理由もないのに 足が止まってさ 雨の匂いがしない日は 世界がやけに静かで 息の音まで聞こえてくる 君は雨が好きだと言った 僕は雨が嫌いだった でも、ちょっとだけ嘘をついた 「まあまあかな」なんてさ 嫌われるのが 怖かっただけ 晴れないで この時間が続くなら 濡れたままでいいから 雨が降るたび 少しだけ安心する 君がまだここにいると 思えるから 朝、カーテンの隙間 空の色を確かめる 僕だけかな 君は、どうだろう
