その日は数年に一度の 記録的な土砂降りで マーチン8ホールもドロドロ 靴下は白にさくらんぼ 坂のアパート 雨どいがバシャバシャ路地を叩いて 水たまりジャンプをしていた 子供のあたし思い出した 濡れた服がぬるい熱をもって ぴたりと張り付いた 庇いきれない ビニール傘を畳んで 映画のように踊ろう 降り注ぐ苦しみ全部晒して どうでもいいほど 浴びれば不思議と力も 湧いてくるってもんなのよ。 かすり傷で泣いてた かよわい私が手を振っていた ありがとう。 もう傘はいらない "この日は一生に一度の かけがえないときなのよ" 誰かにきっと言われても 寝転がり相槌を打った 言わんこっちゃないお天気が 悔い改めよ。と荒れて 無駄に過ごした 意味なき日が 私は今でも大好きだ。 背中を包む 温かさは 歳をとれば様変わり 分かち合いたい けれど我慢では きっといつか辛くなるでしょう? 寂しさばかりは何で埋まるのか いまだわからない 追われる時間に飲み込まれ 気づいた時 平らになっている 解けた靴紐はちゃんと1人で また結べるから ありがとう。 もう傘はいらない