電車の隙間風 優しく頬を撫でる あなたがキスをする時 触れたその手のようだった 覚えてないよ ふたりの部屋で聞いていた曲は 歌詞が抜け落ちて あなたの 下手くそな鼻歌だけ残っている カメラロールの写真には 笑った顔しか残ってないの あなたが笑うと笑い返す ふたりのようには戻れないの カメラロールの私には あなたの隣がいちばん綺麗で 愛してくれていたんだね 今じゃもう笑い返せない 電車は過ぎていく 見慣れた駅のホーム もう降りることはないけど きっとないけど もたれる背中は 出口に近い車両に のってしまっていた カメラロールの写真には 笑った顔しか残ってないの ふたりで過ごしてた時間が 涙なんてなかったみたいね 私を思い出にしないでなんて 子供みたいだからやめたけれど 思い出にしてもいいから たまにほんの少しだけ思い出して カメラロールの写真には 笑った顔しか残ってないの あなたが笑うと笑い返す ふたりのようには戻れないの カメラロールに映らない だめなところすらも愛してくれた 貰ったものを数えても 今はもう思い返せない