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説明文

今どき、ヒーローは突然誕生する…のか。つまり、一般的な意味で。学校を無断早退して、家でカップラーメンにお湯を入れて、リビングで蓋から漏れる小さな湯気を見ながら待ってた4分の間に僕はヒトを越えるスキルを身に付けた…。と思う。瞬時にその時、そのスキルが何であるか自分で分かった。もし、その時、どす黒い情念を持ってたり、借金の神に張り付かれてたら、ヴィランになってたのは間違いない。今だってヴィランの方が沢山の可能性や人生の変化や飛躍を期待出来るだろうと、と思う。でも、ぼくにはそれをやる暇が無いんだ。本当にない。ヒーローにすらなれていない。だって、普通に生活していても奴らはぼくを突然襲って来るんだ。それもそこらの人が奴らになって襲ってくる。突然、分からないうちに。コンビニの女店員、犬と散歩している爺、宅配便の男、たまたますれ違っただけの女子高生。ぼくはそれをギリギリで避けて、他の人にぼくが誰か分からないようにマスクを被り高速の世界で、異次元の空間や空の上、地下の空洞で闘いを強いられる。生死をかけた闘いは相手を殺すまで止まない。殺した相手は街の中で行方不明者となるけど、誰も真剣に探そうとしない。ただ、困惑しているだけだ。まるで、街の人たちの感情や理性が鈍く動いているようだ。今のところ、奴らは一人づつ襲ってくるけど、もし、集団できたら、もし、友達や家族が襲ってきたら。あの娘が襲ってきたら。どうする。もし、ぼくがその前に闘いに負けて死んだら、この状況は終わるのか。誰か他に同じ状況になってて闘っている人はいるのか。そのどの問いに対しても今のぼくは間違いなく、そうなる。と言える。そして、街の人のほとんどが奴になって、奴らをほとんど殺した先にぼくらが生き残った後、最後の闘いがあるのか、そこで全てを終えることが出来るのかは分からない。全然分からない。
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