厚手のセーター 並ぶ店で あなたと偶然 逢った土曜 とてもおしゃれな女性(ひと)に 袖をつかまれながら 「元気?」とお互い尋(き)いた すてきね 短く切った髪も 笑顔も 彼女の白いドレスと 似合うって思った それから あなたと同じシャツを 見つけて 大きな声で「プレゼントに…」と 言った 真っ赤なリボンを かける間 開いたドアから 街の音が そっと 手を振ったあと ガラスの向こう側で 彼女の頭を 撫でた あの頃 わがまま言うと いつも叱った あなたも 大人になったみたいって思った それから 飾りのついた箱をかかえて だけど 誰にも あげる人などいない バカだな 忘れた頃に…… 真夏の雨が上がった 黄昏のように 息苦しくて 空を見上げていたの すてきね 短く切った髪も 笑顔も 彼女の白いドレスと 似合うって思った それから あなたと同じシャツをひろげて ひとりの部屋で 鏡に向い 泣いた もう一度