少し望みがあったとき 生きていたとした話は、 坂道多い港町で起草していた。 バンカラとハイカラで席埋まるバス 見えた自転車の背と ユリ科の花 黒髪おさげ 恋はイエスタデイ 軟派硬派のこと 跳ねるテンションコード 聴こえるドラムロール、 載せたくなる声。 思いの丈 競り競って 愛おし過ぎた喜怒哀楽を 振りかざしたその刹那を いま、青春と名付けた。 さもなくばトライアングルで 叶うその道はもう一方通行 詰襟ロザリオ×スカートを前に 迷ってゆく季節を喰らう、坂道で。 ブルートレインで消えていく たおやかなその姿が 今際の記憶となる酷いときだった。 いつの間にか譲れないみたいだね、 それだけ重ねたんだね。 それさえもまた超えられるほど、 君は強かった。 尊くなってしまったよな。 いつか大人になれど消えない、 傷と祈りは。 小さくなってしまったよな、 その角と抵抗は。 舶来みたいな話 思いの丈 競り競って 愛おし過ぎた喜怒哀楽を 振りかざしたその刹那を いま、青春と名付けた。 恐れなんて知らないもんね。 何処まで忘れないでいるんだ 旅立つみたいなふりをした港町を 眺める、この坂道で。