…♪… 怖いものなしで 生きて来たと思ってた弟が 酒に酔った勢いで 告白したことがある 実は子供の頃のこと 同じ町内に住んでいた ヨシムラって奴が かなり怖かったということを ヨシムラは確か 僕より二つほど年上で 駄菓子屋の大人しい息子で 決していじめっこではなく 僕はふとむしろ逆に 弟が彼に怪我をさせた騒ぎと ひたすら謝るお袋の背中を 思い出していた 懐かしきかな 少年時代の脇役たち 懐かしきかな ワンパク時代の仇役達よ お袋はまだ若く 声も大きく手も早く 叩かれて 泣きべそをかいていた弟も みんな無邪気だったあの頃 ~♪~ 実はそのあと 故郷へ帰る仕事があったので 本当に久し振りに あの町を訪ねてみた 学校沿いの細い道は 更に狭くなってそこにあり ヨシムラの駄菓子屋も 相変わらずそこにあった 何気なく電話をする振りで 中をのぞいたら すっかりおっさんになった ヨシムラがそこに座っていたが タバコをひとつ買ったら 不愛想に釣りをくれた ヨシムラ少年は 僕を覚えていなかった 懐かしきかな 少年時代のときめきよ 懐かしきかな ワンパク時代きらめきたちよ 原っぱも土管もいじめっこも 今はなく 思い出だけが 少しも歳をとらずに 袋小路に うずくまっていた ~♪~