背の低い君が 椅子の上に立って窓を見る 外の世界のうるさいすべてを 僕より先に 僕に内緒で 知ってしまう 置いてかないでよと 請うだけ あるいは地下室のスパイダーごっこ できない知らないに絡まった 隠し事ばかり持ち寄って 答え合わせて安心して 虚目に映る深夜放送 青白く灯った二人は 夜更かし以上の罪を知らない あの日あの時までの話 照降雨の境目に 君はただ耳を狙い澄ませて どこにいくの? 出口などないでしょう 誰のせいでもないならどうしよう このただいまもおかえりもない部屋 で 雨宿りしよう 背の低い僕が 椅子の上に立って手を伸ばす 君にどうにか触れられるように いい事だけを 切り削いだ記憶で 夢を織る 顰みに倣い ただ織るだけ 四度目のバースデイからは容赦なく メレンゲ人形を取り合った 決まって最後には手を引いた 欲しくないものなんていらない 生まれて育ったトランクさえも 持ち上げられず軋む手首 開けっ放しの窓へ向かって 枯れないように伸びるばかり 囀る雨漏り 唸る冷蔵庫 君がいない この部屋に残されて ここにいるよ まだ寄る辺ない鼓動 誰のせいでもないのにどうして このただいまもおかえりもない部屋 が つまらなくなるよ 背の低い君が 椅子の上に立って窓を見る 外の世界のうるさいすべてを 僕より先に 僕に内緒で 知ってしまう 置いてかないでよと 請うだけ どこにいくの? 出口などないでしょう 誰のせいでもないならどうしよう このただいまもおかえりもない部屋 で 雨宿りしよう ここにいるよ まだ寄る辺ない鼓動 君のようになれない なれなくていい このただいまもおかえりもない部屋 に ひとりでいるよ ひとりでいいよ