私の名前をお知りになりたいのでしょう でも今思い出せなくて哀しいのです 働く私に名付けて下さい お呼びになってどうぞお好きな様に 五月に花を咲かす私に似合いの名を 木通が開いたのは秋色の合図でしょう 季節が黙って去るのは淋しいですか 泪を拭いて顔を上げて下さい ほらもうじき私も実を造ります 冬には蜜を淹れて貴方にお届けします 私が憧れているのは人間なのです 啼いたり笑ったり出来ることが素敵 たった今私の名が分かりました 貴方が仰る通りの「林檎」です 美味しく出来た実から毎年お届けします 召しませ! 罪の果実