冬休み明けの人気のない廊下は しいの木の影を落として揺れてた 制服じゃないきみを初めて見たよ 都会へ出ても連絡するよ まだ間に合うかもしれない 次の特急にちゃんとのれば クラスメートは皆な集まる 暑中見舞くらいしか出せず 「きみも元気!」くらいしか書けず ぼくはここの空気に いまだに慣れない 「髪を耳まで出してみました 朝が早いので電車で書いてます」 きみからとどく ハガキの文句は覚えた かわらない町や景色が恋しい ここはたくさん人であふれて いつもたくさん人と別れて 思い出をかかえて歩けない 人の波に背中を押されて だんたんきみのことを忘れて まだあの頃に素直な返事が出せない 昇降口や土手のかたばみ より道した歩道のらく書き かわってゆく自分を許して生きてる まだ間に合うかもしれない 次の特急にちゃんとのれば クラスメートは皆な集まる 暑中見舞くらいしか出せず 「きみも元気!」くらいしか書けず まだあの頃に素直な返事が出せない ここはたくさん人であふれて いつもたくさん人と別れて 星の見えない夜がつづくよ やっぱり今日かえるのはよそう 発車のベルをホームできいた 忘れられない思い出は さわらぬほうがいい