微かに湿らせたような この空気の匂いに うつむきながら歩く夜は 君を思い出す そのうち春は来るけど 思い出せるのか不安にさせる 赤信号待ちの交差点 閑散とした街の表情も 色めいて見えるよ あの日から景色の色が 変わった気がする 少し短めのスカート 風にざわめく夜の公園 「あれは日常ですか?」と問えば 相対速度ゼロになった また夜は明けるから まばたきせずに ただ見ていて 僕のとなりで笑っていて 明日になればまた あの子の声に少しだけ 戸惑いながら笑っているんだろう 夜、車窓の向こうの ぼけたような光に 形あるものは壊れるって あの子は言った 微かに見えた瞳の奥 少しだけ寂しそうに呟く 横顔に見とれて また夜は明けるから まばたきせずに ただ見ていて 僕のとなりで笑っていて あなたのせいです 何もかもが美しく見えるよ 今