57番街に吹く小さな風に 二人肩をすぼめて歩き続けた 待つ人もなくただ二人手をつなぎながら 僕は煙草に火を点けて 街は悲しくうつろう 壁の落書きには 思い出すものもない 何時誰が書いたのかすら 僕らは知らないけれど 雨に打たれ風にさらされ 時の過ぎゆくままに愛を 育んでいる二人に何処か似ていると 君の温もりの中 見つめていて 僕だけのこと 街には花がない 灰色の空が 上目づかいで歩く二人には見える 触れ合えば何時もきっと悲しみの傷みも 一筋の光の瞬きに救われればいい 枯れた噴水の淵に 僕らは腰掛けて 夢見る訳でもなくただ無口になっている 誰かが奏でる題名のない音楽に 耳を傾けていると 君を見失いそうさ 肩を抱き寄せてみるけど 遠くに感じる 見つめていて僕だけのこと ベッドの中で夢見る 何時しか二人の心 優しくなれると胸の傷みをこらえながら 寝息をたてて眠る君の頬に 優しく愛しくくちづけて 髪を撫でるとぼんやりと僕を見つめて こう聞く「ねぇ これでいいの…」 見つめていて 僕だけのこと