恩賜(おんし)の煙草を いただいて あすは死ぬぞと 決めた夜は 広野の風も 腥(なまぐさ)く ぐっと睨んだ 敵空に 星が瞬(またた)く 二つ三つ すわこそ征けの 命一下 さっと羽ばたく 荒鷲へ 何を小癪な 群雀(むらすずめ) 腕前見よと 体当たり 敵が火を噴く 落ちてゆく 機首を回した 雲の上 今の獲物を 見てくれと 地上部隊に 手を振れば どっと揚がった 勝鬨(かちどき)の 中の担架が 目に痛い しめたぞ敵の 戦車群 待てと矢を射る 急降下 煙る火達磨 あとにして 悠々還(かえ)る 飛行機地 涙莞爾(かんじ)と 部隊長