ちょっとだけ話 聞いて下さい 午後の陽ざし 帰り路 手に持っていた 白い風船 風に乗って 消えていった 「ここの陽だまりは誰かのもの」 かかと鳴らし 歌ったら 誰もが笑う “あの子は 哀しい ヒマワリ” 遠い空を 見上げれば 風船ひとつ 私を忘れてしまうかしら 昨日の夢を聞いて下さい 石畳の細い階段 紫色の小粒の雨が 街を 屋根を 飾ってる 「明日 晴れたなら 夢は消える」 傘を閉じて歩いたら 誰もが笑う “あの子は 淋しい アジサイ” ビーズ色に 光ってる 髪のしずくを 落とさぬように 手をかざすの 遠い空を見上げれば 風船ひとつ 私を忘れて しまうかしら