止むことを知らない雨に震える町 願いさえも届かない そこは星のない空 ある夜のこと 現れた外套の旅人 「この町に太陽を 呼ぶ術を伝えにきた」 まるで神でも拝むように 集まる人に落とされたのは 「空に一番近い場所へ 一つの命を捧げること」 広がる声は夜風 一夜にして町を吹き渡る ルーテル その胸を覆う雲の下で 彼もまたそれを拾った 明くる朝も 明くる日も 町を濡らす雨 誰一人 名乗りを上げる 者はいないまま 目蓋の裏で人は見ていた 闇にも瞬く生きていく理由 慌てて彼も探すけれど そこにさえ星のない空 小さな部屋を飛び出して 広場へ向け一人走っていく 「くだらないこんな命にも 与えられた意味があるのなら今」 壁を叩いた石を投げ捨て 駆け上がった時計台の上 針と首を結び終えれば 竦む足に雨と騒めき 「ルーテル」 聞こえたのは 孤独の雲に放たれた声 溢れるそれを隠すように 白い布を被り 彼は踏み出した 「ルーテル」 叫びの中 二つの針が空へと刺さる 消える雲 生まれる星 町を包んでいく月明かり 「ルーテル」 残された文字を 誰もが深く胸へと刻む 閉じた目で見つけた光 照らされた布の奥で彼は笑った 雲を切る風 その町に許された願い 窓に吊られ 微笑み揺れる白い人形
