君との出逢いは 友達のダブルブッキング 渋谷のカラオケ 君に惹かれていく 初めての「スキ」は君から 僕の初めてのキスは君になった 君は新宿でアパレル店員 僕は泥だらけ汗臭い現場職人 そんな2人の ありきたりな物語 そんな2人も 気が付けばパパとママに 幾度となくすれ違って その度に愛し合って まだか細い足で支え合って 少しカサついた手を 握りかえした 命の「い」の字も分からない 最初は誰もが親1年生 嫌いだったあの言葉も少し分かった 親になって気付く親の偉大さ ある日君が実家から 持って帰って来た古いビデオカメラ SDカードを差し込んで 僕の部屋で2人で泣いた 僕の知らない 君がそこにいて 戯けて笑っている 小さな声と 大きな愛で 優しく君を呼んでる 2017年 2月1日 お義父さんは 眠りにつきました 病室 君はお義父さんの 静かな胸の上で泣いている 生後一ヶ月の初孫を お腹の上に乗せ 沢山抱っこしてくれた その光景こそが 家族を愛し 命を紡いだ証だ 初めて会ったのは北海道の札幌 連れて行ってくれた実家の美唄 体に無理をしてでも案内してくれた 旭川動物園にスープカレー ホテルのお義父さんの 部屋をノックして 目の前で震える膝をついて 「娘さんと結婚させて下さい。 必ず幸せにします」って 優しいお義父さんの目の奥が 変わるのが分かった 少し頷いて 一言だけ言ってくれた その時の僕には いや一生僕には分からない 命を掛けて育てた娘を 送り出す痛みと 愛の大きさを 僕の知らない 君がそこにいて 戯けて笑っている 小さな声と 大きな愛で 優しく君を呼んでる 大馬鹿だった 敵うはずもないんだ 全部知った気でいた こんな僕に 頷いてくれた 「娘を頼んだ」 この約束だけは ずっと守りますから 守りますから