バンシー 孤独を踊ってくれないか? 嘘で繰られた人形のように 壊れ物ばかりさここは 可笑しな話は売るほどあるが 雑に縫われた傷口から 赤く嘘が噴き出てみたり さながら無理やり持たされた荷物だ この魂 欲しけりゃどうぞ 寂しい妖怪(あやかし) 似たもの同士だろう 僕らは ひとりぼっちがふたり 放棄された宮殿のようさ 空虚な心はそうダンスホール 凭れかけたメロディ 口移しのリズムが 自棄に響く どうかバンシー 孤独を踊ってくれないか? 嘘で繰られた人形のように 息の止め方も分からない僕と バンシー とめどなく狂ってくれないか? 今に縛り付ける椅子を蹴って 旧く音のない映画みたいに 飢えて透けるかい? 哀しい味の魂はここさ 聞かせてくれ その手に余る喜びよりも深い 持たざるゆえの辛さを 紆余曲折の残響で ぼやけた生きる意味のレイトショー 甘く温いストーリー 間延びしたセリフが 終わり願う どうかバンシー 孤独を踊ってくれないか? 皿の落ちきった天秤のように 大事なものがもう分からない夜は 万死 終末に酔って揺れながら 溺れた詩人を真似て重ねた 手を伸ばす月に影だけが届く 哀しい同じ 表情(かお)をしていた―― 君があの時貪った 魂……の材料の妖怪(あやかし)も バンシー 哀しい味がするの? 君も さぁ 孤独を踊ってくれないか 君が堕ちゆく間は 僕はヒトでいられる まだ踊れる まだ狂える まだ まだ 嗚呼 壊れた――